物語というのは、あとでどういう展開が待っているかわからないから、途中で展開を批判するのはリスキーなんだけど、そのリスクを受忍してでも言いたいーー今回の朝ドラさすがに酷くないか、特に「ワタナベさん」(漢字不明なのでカタカナ表記とする)の演出が。
栄養士の専門学校の主人公と敵対する女性がいて、彼女と主人公のやり取りも不愉快に思えるのだが、こちらはまだ失地回復の余地があるので置いておく。
ただ、ワタナベさん(漢字不明なのでカタカナ表記とする)、阪神淡路大震災で娘さんを亡くされた人の嫌われる演出は、あまりにも過剰すぎやしないか?
現在のワタナベさんは、主人公の家族にだけではなく、自分に関わろうとするすべての人に対して、拒絶的な態度を取っている。
しかし、視聴者視点から見れば、ワタナベさんの娘が亡くなる前から、やたらと怒り出す人物だった、というのがポイントである。
娘が地震で亡くなってしまった影響が甚大で心を閉ざしたのであれば、まだ納得できる。しかし、ワタナベさんが優しさなどのポジティブな感情を、震災が起こる前から視聴者には一切見せていない。
だから、こんなにも拒絶的な態度を取り続けるならば、「もう放っておいた方が良いのでは」と感じさせてしまうのである。それなのに、主人公の父親がワタナベさんと関わろうとするのが、よくわからないのである。
特にインパクトが強かったのは、主人公の姉が、真心をこめてワタナベさんの娘のお墓参りをしたのに、ワタナベさんは主人公の姉がお墓に供えた花を突き返し、「もう来ないでくれ」と言い放った場面が、あまりにも酷いと感じた。最後に多少のトラブルがあっても、ワタナベさんの娘と主人公の姉はかなり仲が良かったのに、この対応はいくらなんでも理不尽ではないか。
これでは本当に亡くなった娘のことを想っているのだろうか、と感じるぐらいである。娘を想う心があるならば、顔を合わせたくないにしても、せめて主人公の姉が去るまで黙って見守っていれば良いのに、墓に供えた花を突き返すのは、とてつもなく無礼である。
今日の放送でも、ワタナベさんの家を善意で訪れた人を追い返していたが、なぜこんなにも他者を拒絶し続けるのかの理由が未だ明示されておらず、後に判明したとしても、嫌われる演出が過剰すぎて、もはや視聴者から納得を得るのはかなり困難ではないか。
他にも首を傾げたくなる演出が見受けられるが、逐一は取り上げない。
しかし、いくらなんでもワタナベさんに関しては観ていて不愉快だし、何のためにここまで嫌われ役にしようとしているのかがわからない。ここから失地回復できれば凄いことではあるが……