タイトルの通りだが、NHK『カムカムエブリバディ』が、18日から土日以外の12:30に再放送されるそうである。これは、英断だと思う。
普通のNHKの朝ドラは、脚本を半年持たせるために、ヒロインを中心に描いてはいても、テーマとは離れた人間関係を掘り下げたり、あるいはサブイベントをいくつも入れて、どうにかこうにか半年を繫ぐ、言ってみれば短編集形式の作品が多いのであるが(なお、これは後述する尺の問題で致し方ないことだと思っている)、『カムカムエブリバディ』に関してはそうではない、最初から最後まで繫いだ「一つの物語」として成立している。
たしかに、三人のヒロインのリレー形式ではあるが、しかしながら、ヒロインの恋愛を中心軸にしている点は変わらないのだ。それぞれの恋愛模様は異なるけれど、サブキャラクターは最低限しか描かず、ヒロインと恋人を主軸として描く、幹の太い物語となっているために、視聴者の視線が散逸しないようにしているのである。こういう物語は、印象に残りやすく、古典化しやすく、破綻が無ければ評価は高くなる傾向にある。
要するに、テーマを一つにして、そこからブレないように描いているのだが、単純そうに思えて、実はとても難しい。短編集形式の方が作者としては、書きやすいのである。
その理由は様々あるが、朝ドラで言えば『約15分×5で半年間もたせる』という宿命を背負っているからである。長すぎても短すぎてもいけない、尺が固定化されているのは、作者としては相当難儀なのである。
この点、作者が自由に尺をコントロールできる形式の小説だとまだやりやすい(だって、小説のページ数は作品によってバラバラでしょう)。
ところが、ヒロインのリレー形式とはいえ、この難題を見事にやってのけたのが、この『カムカムエブリバディ』である。
ツッコミどころも細かく突けばあったが、しかし大きな破綻はなく物語は進行しているのでノープロブレム。
お昼ご飯を食べながら、楽しんで視聴したいと思う。ありがとう、NHK!